【コラム】モラルハラスメント
2021.08.31
いつもお世話になっております。ひなぎく法律事務所です。
弊所は「10年先もあなたらしい笑顔でいられるように」を事務所理念に掲げ、岡山県を中心に、離婚、子どもの養育、相続など、家族に関わる事件を数を多く取り扱っております。この度、弊所にご相談いただく皆様への情報発信のため、離婚などに関するコラムの執筆を開始することにいたしました。不定期の更新ですが、皆様へのよりよい情報発信となれば幸いです。
初回のコラムのテーマは「モラルハラスメント」です。
【相談内容】 外面は良く、「良い夫」で通っていますから、周囲の友人に相談しても私の話を信じてくれません。 ずっと前から夫とはもうやっていけないと思っているのですが、離婚を切り出したところで、丸め込まれてしまいそうで、怖いです。離婚はできるでしょうか。 |
【ご回答】
ご相談の内容は、典型的なモラハラ(モラルハラスメント)に該当するように思われます。モラハラとは、身体的な暴力でなく精神的な暴力や言葉による暴言、態度などで相手に精神的な苦痛を与える行為であり、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当する可能性があります。
このようなモラハラは、近年、有名芸能人の離婚事件で問題になったこともあり、相談が急増していますが、モラハラ夫(妻)には、以下のような特徴があるように思われます。
① 結婚前までは優しい
モラハラ夫(妻)は、相手の人格を否定し続けて、「自分は無力な人間である」と相手を洗脳し、コントロールしようとします。
外面は良いので、結婚前までは、「優しくていい人」が多いのですが、結婚して相手が経済的にも精神的にも依存する状況になった段階で豹変し、劣等感を植え付けてきます。
② 相手を見下し、精神的に追い詰める
モラハラ夫(妻)は、プライドが高く、学歴も比較的高い人が多いように思われます。直接的な暴力を振るうことは少ないのですが、自分の要求が通らないなどちょっとしたことで機嫌を損ね、理詰めで説教をしたり、長時間無視をしたりすることにより、相手を精神的に追い詰めます。
そして、話し合いを試みても、相手のことを見下しているため、対等で建設的な会話は期待できません。
③ パートナーを過度に束縛する
モラハラ夫(妻)は、パートナーを自分のものにしたいという願望が強く、常に行動を監視して束縛しようとします。
なぜなら、モラハラ夫(妻)にとって配偶者は対等なパートナーというよりも、物のように支配する対象のようなものだからです。
④ 何もかも人のせいにする
モラハラ夫(妻)はプライドが高く、自己肯定感が極めて高いという特徴があります。
自分は絶対に正しいと考えているため、家庭内で何か問題が起こってもパートナーに責任転嫁をします。自分に原因があることが明らかな場合でも、相手方に原因があると主張し続け、絶対に自分の非を認めません。
⑤ 世間体は良い
モラハラ夫(妻)は、周囲からの評価をとても気にしますから、外では「いい人」、「立派な人」を演じます。
しかし、配偶者に対しては、自分より格下であると見下して、相手の心を傷つけるような言動でストレスを発散します。
以上のようなモラハラも、離婚を請求する側が、モラハラの事実を証明する必要がありますが、外形的に分かりやすい身体的暴力などと異なり、証明が難しいという特徴があります。例えば、録音された会話やメールのやり取り見ても、モラハラ夫(妻)は、声を荒げたりしているわけでもなく、理詰めで話をしているような場合には、ハラスメントであることが中々分かりにくいからです。
被害者としては、モラハラを証明するために色々と工夫が必要ですので、経験の豊富な弁護士とよく相談の上で方針を考えていく必要があります。