【コラム】養育費の請求・算定
2021.09.30
いつもお世話になっております。
ひなぎく法律事務所です。
弊所は「10年先もあなたらしい絵が出いられるように」を事務所理念に掲げ、岡山県を中心に、離婚、子どもの養育、相続など、家族に関わる事件を数多く取り扱っております。
第5回のコラムのテーマは「養育費の請求・算定」です。
【ご相談】 夫と私は、私が8歳と5歳の子どもの親権者となって離婚することで合意しました。 夫は、「自分の生活で手いっぱいで養育費は払えない」と言っていますが、私と子どもの生活もあるので、ちゃんと養育費を支払ってもらいたいと考えています。養育費の取り決めはどのように行えばよいのでしょうか。また、どれくらいが相場なのでしょうか。 |
【ご回答】
親が離婚するにあたって、子どもと離れて暮らすことになる別居親は、子の養育費を支払う必要があります(民法766条1項)。
親は子どもに対して、自分(親)の生活と同程度の生活を保持できるようにしなければならないという義務(生活保持義務)があるからです。
養育費の金額や支払い方法は、原則として、父母の協議により定めることになりますが、合意ができた場合でも、後に支払いが行われなくなるケースもありますので、きちんと書面(公正証書が望ましい)を交わしておきましょう。
養育費について父母で協議がうまくいかない場合は、家庭裁判所に対して、養育費の支払いを求める調停や審判を申し立てる必要があります。調停では、父母双方が自身の収入などの資料を提出し、両者の合意を目指して話合いが行われることになります。
養育費の算定については、算定表が広く利用されています。
>算定表はこちら
ご質問のケースでは、(表3)子2人(第1子及び第2子0歳~14歳)を使用し、例えば、義務者(夫)が会社員で年収(源泉徴収票の支払金額)が600万円、権利者(質問者)の年収400万円の場合には、養育費は月額10~12万円と算出されます。
もっとも、この算定表はあくまで目安であり、お子様が私立学校や大学に行っている場合などは、算定表の金額にさらに加算して増額できる場合があります。
また、養育費は、子どもが「未成熟子」である場合に支払い必要があるものです。この「未成熟子」とは、自立をしていない子どもという意味ですので、「未成年の子」であるとは限りません。
民法の改正により令和4年4月1日から子どもの成年年齢が18歳に引き下げられますが、現在の実務では、成年年齢が18歳になっても養育費の支払いの終期は原則として満20歳までと考えられています。また、子どもが大学などの進学した場合には、20歳を超えても卒業までは未成熟子と扱われ、養育費を支払うことになる場合もあります。
いつまで養育費を支払うかは事案によって様々ですので、父母の協議で養育費を定める場合には、終期をいつまでとするのかについても、しっかりと話合いをする必要があります。
現在の実務では、養育費は、請求をした時点から支払う義務があることが認められていますが、過去分を認めてもらうことは困難です。そのため、養育費の請求は「請求した」ということや請求した日時が残るように、文書、メール、LINE等を利用して行い、話し合が難しい場合には、早めに裁判所に調停を申し立てましょう。
そして、いったん当事者間で養育費について合意すると、後から変更するのはとても難しくなります。
最終的に合意をする前に、いったん弁護士に相談することをおすすめします。